ジョン万ビーチで、ウミガメを見る目が変わる
「大きい!」「泳ぐのが上手!」。そこからもう一歩、前足の小さな爪や、鼻の穴、甲らの長さにも目を向けてみませんか。ジョン万ビーチ(大度海岸)では、アオウミガメに出会うことがあります。天然水族感の実際のツアー写真と、拡大した説明図を行ったり来たりしながら、見たい場所を見つけていきましょう。
野生の生き物なので、出会える日も、姿を見かけない日もあります。図で小さな部分を予習しておくと、海では追いかけずに、見える範囲の発見を楽しめます。全部見つけなくても大丈夫。「前足がすーっと開いたね」という一つの気づきが、家族で話せる思い出になります。

前足の爪って、どれ?
ウミガメの前足は、魚のひれのように平たくて大きなパドル。その縁に、小さな爪がふつう1本ずつあります。足のいちばんとがった先が爪なのではありません。図の赤い丸を見てください。前足の頭側のふちから、白っぽい小さな爪がちょこんと出ています。

私たちの指先にも爪があるように、ウミガメにも硬い角質でできた爪があります。成熟したオスでは前足の爪が目立って曲がることがあり、性別を調べるときの手がかりにもなります。でも、「爪があるからオス」ではありません。メスにも爪があり、若いカメの性別は外見だけでは分かりにくいのです。
大きな前足、小さな後ろ足。どちらがエンジン?
泳ぐ力の中心は、大きな前足です。上下に動かして水を押し、そのあと足を広げたまま、すーっと滑るように進みます。後ろ足は進む向きを整える舵のような役目。「こぐ時間」と「すべる時間」が見えてくると、ただ泳いでいる姿にもリズムが感じられます。

魚は尾びれを振って進む姿がよく見られますが、ウミガメは大きな前足が主役。だから海の中を飛んでいるように見えるのかもしれません。これは動きのたとえです。空を飛んだり、水中で呼吸したりする生き物ではありません。
アオウミガメとタイマイ、顔のどこを見る?
どちらも沖縄の海にいるウミガメです。名前を確かめる手がかりの一つが、鼻と目の間にある、頭の上のうろこ。アオウミガメはふつう左右1枚ずつ、計2枚。タイマイはふつう2対、計4枚です。目の後ろの模様や、鼻先の小さな板まで全部数えるのではなく、図で色をつけた場所を見ます。

横顔にも違いがあります。アオウミガメの口先は比較的丸く、タイマイは鳥のくちばしのように細くとがった形。タイマイでは甲らの板が重なり、後ろの縁がギザギザに見えることもあります。ただし年齢や見る角度で印象は変わるので、口先・頭のうろこ・甲らの形を合わせてガイドと確かめましょう。
顔の横には、地図のようなうろこ模様もあります。こうした鱗の境界や並びを写真で比べる方法は、研究で個体を区別する手がかりにも使われています。「以前の写真と同じカメかな?」という問いも面白いですね。ただし、似て見えるだけで同じ個体と決めたり、模様の色が一生変わらないと言ったりはできません。
鼻の穴はどこ? 口の中に歯はある?
鼻先の上のほうにある、小さな穴が2つ。ここが鼻の穴です。水面で空気を吸い、潜るときには鼻の穴を閉じます。私たちと同じ肺呼吸なので、海の中だけでずっと呼吸できるわけではありません。魚のようなえらはありません。

ウミガメには歯がなく、硬い角質のくちばしがあります。アオウミガメのあごの縁には細かなギザギザがあり、食べものを切るのに役立ちます。「海の草刈りばさみみたい」と想像すると、ただ口を動かしているように見えた場面も、食事の工夫に見えてきます。

大人のアオウミガメは海草や海藻を食べることが多い、草食寄りのカメ。海草は花を咲かせる海の植物、海藻はワカメやモズクの仲間のような藻類です。小さい時期には動物も食べるなど、成長や暮らす場所によって食べものが違うことがあります。海底へ顔を向けているだけでは、何を食べているかまでは分かりません。口が動く? 同じ場所でゆっくりしている? 見えた動きから考えてみましょう。
甲らとおなか、色も形も同じ?
アオウミガメという名前でも、甲らが青色という意味ではありません。甲らは茶色やオリーブ色などに見え、おなか側は淡い黄色や白っぽい色。英語のGreen Turtleという名前は、甲らではなく体の脂肪が緑がかっていることに由来すると説明されています。

甲らの表面には、板を組み合わせたような模様があります。丸い背中と平たいおなかの見え方が違うのも、注目したいポイントです。海で色が変わって見えるのは、光や水の影響もあるため。「さっきは茶色、今は緑っぽい」と見える変化も楽しめます。甲らの板や模様を数えて年齢を決めることはできません。
人とくらべると、どのくらい大きい?
最初の実写には、ウミガメと人がいっしょに写っています。甲らだけを、人の胴体と見比べてみてください。頭からしっぽまでを含めると、ずっと大きな体に感じられませんか。前足を広げたときの幅にも存在感があります。
ただし、写真は手前のものほど大きく写ります。人物の身長、カメとの奥行き、泳ぐ向きが分からないため、この写真のカメを「約○cm」とは測れません。そこで、同じ縮尺の図で身長160cmの人と、甲ら100cmのカメを並べました。掲載写真の個体ではなく、大きさを想像するための例です。

大きさを説明するときの「甲らの長さ」は、頭や首、しっぽを足した全長ではありません。研究では、甲らの前から後ろまでをまっすぐ測る方法と、甲らの丸みに沿って測る方法があります。丸みに沿う値は直線の値より長くなるので、違う測り方の数字をそのまま比べることはできません。
最大級は、甲らだけでどのくらい?
環境省は、甲らの長さ130cm、重さ140〜180kgにもなる大型のカメと紹介しています。甲らだけで1mを超え、体重が100kgを超える大人もいるのです。小さな赤ちゃんから、海をゆっくり泳ぐ大きな体へ。姿を想像するだけでも、成長のスケールに驚きます。
専門の種資料には甲ら153cmという大型の記録も紹介されています。ただし、その説明では測り方や元の測定記録を確かめられませんでした。FAOの1990年の資料は、甲らの丸みに沿って139.5cmという記録を紹介する一方、150cm超・395kg級の古い話を未確認記録としています。そこで、このページでは「世界最大は絶対にこの数字」とは断定しません。ふだんの大きさの目安と、珍しい大型の記録は分けて楽しみましょう。
大きさを見たら、だいたい何歳か分かる?
「この子、何歳だろう?」と思いますよね。大きさは育ち方を考えるヒントになります。でも、同じ大きさでも同じ年齢とは限りません。食べもの、海の環境、個体の違いによって育つ速さが違うため、野生のカメに「甲ら50cmなら○歳」という早見表を当てはめることはできません。
沖縄の八重山で行われた長期研究でも、同じような大きさのカメが同じ速さで育つわけではありませんでした。再び測れた個体の甲らの伸び方には幅がありました。久米島の別の研究でも成長の違いが報告されています。どちらもジョン万ビーチの写真のカメの年齢を調べた研究ではありません。
人でも、背の高さだけを見て誕生日は分かりませんよね。カメも同じように、「育ってきた体なんだな」と想像することはできても、写真から誕生日を読み取ることはできないのです。小さく見えたから赤ちゃん、大きく見えたからお年寄り、と決めつけなくて大丈夫。
どのくらい長生き? 海ではゆっくり大人になる
アオウミガメは長生きする生き物です。NOAAは、正確な寿命は分からないものの、70年以上と推定されると紹介しています。「必ず70歳まで生きる」「70歳が最高齢」という意味ではありません。野生のカメを卵から一生追い続けるのは難しく、目の前の一匹が何歳かも普通は分かりません。
同じNOAAの案内では、メスが繁殖を始めるまでに25〜35年ほどかかるとされています。地域や個体によって違うので、沖縄のすべてのカメに共通する年齢ではありません。それでも、長い時間をかけて育ち、世代をつないでいく生き物だと分かります。

生まれたばかりの甲ら約5cmから、大きな大人へ。目の前のカメが、何年もの海の暮らしを重ねてきたかもしれないと思うと、ひとこぎの見え方も少し変わりませんか。浜に巣や子ガメがいるときも、近づいて照らしたり、砂を掘ったり、つかんだりせず、そっと見守ります。
オスとメス、しっぽのどこを見る?
成熟したオスのしっぽは、長く太くなり、甲らの後ろからはっきり出て見えることがあります。成熟したメスは短めです。見る場所は左右の後ろ足の間。後ろ足そのものをしっぽと間違えないよう、図の色をつけた部分を確かめてください。

ここで大事なのは「成熟した個体」という条件です。若いカメは、短いしっぽでもメスと決められません。泳ぐ姿では尾が隠れることもあります。前足の爪の曲がり方も補助的な手がかりですが、一つの特徴だけで決めず、見えなければ「分からない」で十分です。
卵が育つときの巣の温度が、性別の割合に関係することも知られています。海の暮らしは、泳ぐ姿だけでなく、生まれる前の浜辺ともつながっているのですね。温度を測るために巣を掘ることはせず、この話はガイドや資料で楽しみましょう。
いっしょの海を泳ぐと、どんな場面が見える?
水面の光がゆれる中を、ウミガメがすーっと進む。大きな前足を動かしたあと、少し滑り、息を吸うときには水面へ向かう。そんな姿が見られたら、速さより、動きが変わる瞬間を見てみませんか。


「いっしょに泳ぐ」は、カメに合わせて追いかけることではありません。同じ海で相手の暮らしを見守る時間です。触らない、餌をあげない、進む先や水面への道をふさがない。ガイドの近くで、その日の海況と生き物の様子に合わせて楽しみます。小さな部位が見えなくても、大きな前足が開く瞬間や、光をまとって進む姿は、それだけで見ごたえがあります。
海で楽しむ「観察名人」の6つの問い
- 前足は動いていた? それとも滑っていた?
- 前足の先と、小さな爪は違う場所だと分かった?
- 甲らとおなかでは、どんな色の違いがあった?
- 顔や口先は、どんな形に見えた?
- 水面へ向かうとき、体の向きは変わった?
- 自分と家族は、同じところを見ていた?
答えを全部そろえる必要はありません。「私は泳ぎ方を見ていた」「ぼくは甲らの模様が気になった」と、見たところが違うのも面白さです。小さな発見をガイドに伝えると、次に見る場所が増えるかもしれません。図鑑で見た形が、海の中で動いている。その一瞬が、自分の発見になります。
今度は、ジョン万ビーチの海で確かめよう
天然水族感では、まず見て、違いに気づき、「どうしてかな」と考えて、ガイドと確かめます。ウミガメに会えたら、今日このページで気になったところを、見える範囲で探してみましょう。会えない日も、魚の動き、サンゴの形、光のゆらぎに、海の暮らしは見えています。
どんな発見があるかは、その日の海のお楽しみ。大切な人と同じ海を見ながら、自分の「見つけた!」を持ち帰りませんか。参加条件、プラン、当日の海況による変更などは、現在の案内をご確認ください。
ツアーのプラン・参加条件を見る 初めての方へ:安全への備えを読む ほかの海の発見ノートを読む
もっと知りたい方へ:根拠と写真について
生態と図解の出典を見る
- 環境省:アオウミガメ(国内分布、甲長130cm・体重140〜180kgなど)
- NOAA Fisheries:Green Turtle(生態、寿命は70年以上と推定、成熟年齢など)
- NOAAハワイ公式冊子:成体の甲ら長3〜4ft(約90〜120cm)
- Wyneken 2001, NOAA:ウミガメの解剖(爪、くちばし、鼻など)
- EAZA 2021:頭のうろこ、成熟した個体の尾と爪の参考
- FAO 1990:子ガメの甲長、曲甲長139.5cmの大型記録、古い未確認記録の区別
- Naturalis専門種資料:甲ら153cmの大型記録の紹介(測定方法は本文で未確認)
- Kamedaほか 2017:八重山の成長研究(公開2017年6月2日)
- Okuyamaほか 2026:久米島の採餌場と成長研究(公開2026年4月20日)
- PLOS ONE 2015:東太平洋のアオウミガメの成熟個体の性別調査
- Carpentierほか 2016:顔の鱗の写真による個体識別研究(レユニオン島)
- 糸満市:大度浜海岸(ジョン万ビーチ)の案内
他地域の研究を含みます。八重山・久米島の結果を、大度浜の個体の年齢や大きさとみなしていません。原典の図版は転載せず、解剖位置を確認して独自の説明図を作りました。
このページの「実写」は天然水族感の大度浜ツアーで撮影した写真です。2026年2月24日・2月26日の既存公開ブログの画像を使用しています。ジョン万ビーチでアオウミガメに出会うことがあるという案内は当店の現場運営者の確認に基づきます。写真だけから個体の年齢・性別・体長は断定していません。
「AIイラスト・AI模式図」は説明のために作成した画像です。実際の個体や浜、現場で必ず見られる場面を再現したものではありません。大きさ比較は同じ縮尺の模式図、生活のイメージ図は同じ縮尺ではありません。掲載情報の確認・更新日:2026年10月9日。